がん看護コース 緩和ケアアウトリーチナース養成プログラム学生支援事業

 令和3年2月21日(日)13:00より、北海道医療大学、北海道専門看護師の会共催のもと「配偶者以外の介入を望まない高齢がん患者の在宅療養支援へ向けての課題」をテーマとした事例検討会をオンラインで開催しました。事例提供者は、北見赤十字病院のがん看護専門看護師、須藤祐子さんでした。午前中の研修会に引き続き、東京女子医科大学 看護学部/看護学研究科教授 長江弘子先生がスーパーバイザーとして参加して下さいました。参加者は、保健医療機関看護師、CNS、CNS コース大学院生など23名で、午前中の長江先生の講義をもとに検討会を進めていきました。
 事例は、「2人で力を合わせて暮らしていた高齢者夫婦への在宅療養支援において、介護者の認知機能の低下があり支援の困難さと意思決定の公平性に疑問を抱いた」事例でした。検討内容は、1.認知力低下があり、自分以外の介入を拒む妻とその意向を尊重し退院を拒む患者の療養の場に関する意思決定を促す介入方法 2.患者家族への意思決定支援の公平性を保つためにできること、の2点で検討しました。グループワークでは、午前中の講義を参考に、事例をトラジェクトリで捉え、時間軸(過去・現在・未来)で患者家族を理解し、病状から今後の予測をもとに患者家族と今後の過ごし方について共に考え、患者家族の価値観や生活史を尊重した目標設定にすることが必要であること。患者家族の価値や思いを掘り下げて聞くことの重要性を共有しました。
 長江先生からは、入院時から先を見据えたゴール設定が必要なことや、病状変化を予測してマネジメントし「生活」と「医療」を統合させること。調整には、地域を巻き込み、地域と繋がりながらケア提供することが必要とアドバイスをいただきました。意思決定の公平性については、規律に沿ったケア提供や同じことを提供することだけが公平性ではなく、「看護師は誰のためにいるのか」を考え、時には組織と話し合い調整することも必要であることをアドバイスいただきました。
 参加者からは、経過を「可視化」することで課題や必要なケアが整理できたという声が多くあり、有意義な事例検討会でした。
 オンライン開催にあたっては、参加者への資料提供方法や事例検討会での情報交換のあり方についての意見もあり、今後の検討が必要と感じました。


~アンケートより~
  • 限られた情報をもとに事例へのケアを思考することは、臨床でとても役立つ。
  • 可視化することで何が課題でどんなケアや介入が必要か整理でき、勉強になった。
  • CNSの方々の考え方を知る機会になりました。