がん看護コース研修
緩和ケアアウトリーチナース養成プログラム学生支援事業

 令和2年1月11日(土)13:30よりACU中研修室(1605)において、文部科学省選定 多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プラン 緩和ケアアウトリーチナース養成プログラム学生支援事業による事例検討会が、北海道専門看護師会共催のもと開催されました。今回は、がん看護領域と精神看護領域との共催で、がん/精神リエゾンCNS、大学院生、看護師、教員を合わせた32名が参加しました。
 今回のテーマは「認知機能が低下したがん患者の倫理的問題」として、KKR札幌医療センターのがん看護専門看護師 山田琴絵さんより高齢患者のがん告知と治療の意思決定をめぐり介入された事例を提供していただき、そこで生じている倫理的問題、および患者・家族への支援についてがん看護、精神看護の専門領域混合のグループで検討を行いました。
 グループワークでは、①高齢がん患者へのがん告知の場面における倫理的問題の整理と介入の方略について、②高齢がん患者の告知や治療を代理意思決定しようとする家族への具体的介入について、以上の2つのテーマをリアルタイムな場面設定のもとで検討しました。高齢者の身体、心理、社会的特徴を踏まえて、「がん」という病気が与える心理的影響により高齢患者への告知を迷う家族、および家族を代理意思決定者として見立てようとする医療チームの背景について、臨床倫理4分割法を活用して情報を整理し、患者が置き去りの中で意思決定されようとしている臨床現場の倫理的問題について明確化を行いました。介入の方略については、高齢患者に対しては、患者のこれまでの生活の営みに立ち返り患者の物事の決定のあり方、考え方から対象を理解すること、患者の病態や身体状況、過ごし方から患者が考えられる/決められる力をアセスメントすることの必要さについて意見が挙がりました。また、患者を支援する家族をシステムで捉えて家族の関係性や意思決定のパターンを捉えて介入の糸口を探ること、さらに医療チームの困難感についても着目してアセスメントを深め、包括的な視点の下で段階的な介入について活発な意見交換が行われました。
 今回、がん看護領域、精神看護領域とで一緒に事例検討ができたことにより、参加者からは「領域を超えた検討が非常に学びになった」「互いの領域の役割や視点を学ぶことができた」との意見が多数あり、広い視野で検討を深めることができた学び多い有意義な検討会となりました。

参加者32名(内訳:がん領域12名、精神領域20名)
会場写真 会場写真

〜アンケートより〜
  • いつもはがんの分野だけで話し合っているが、精神の人たちの視点が加わって新たな視点が得られた。
  • 1つの事例(現象)に対して、実践→教育につなげる方策をとったグループもあれば、コンサルテーションから介入を考えたグループもいて、視点の多様性と思考の速さが印象に残った。
  • 内科・外科でのCNS・リエゾンチームの考え・行動などふだん関わることがないため、大変学びになりました。