がん看護コース研修
緩和ケアアウトリーチナース養成プログラム研修会

 2019年度がんプロフェッショナル養成プランの第1回研修会は、12月7日に「がん教育の今、これから」と題し開催されました。
 昨今、生涯のうち国民の二人に一人がかかると言われており、命の尊さや、健康を管理すること、がんに対する正しい知識を身につけることは国民の基礎的教養となりつつあります。2012年のがん対策推進基本計画では、がん教育について検討することが掲げられ、がんに対して正しく理解できるようにすること、いのちの大切さについて考える態度を育成することを学校におけるがん教育の目標として挙がりました。そこで今回は、児童や生徒に対するがん教育に精通している日本女子体育大学の助友裕子先生をお招きし、ご講演をいただきました。助友先生は、がん教育が大切であるとがん対策推進基本計画で言われる以前から、がん教育について長年活動をされてきており、がん教育の必要性だけでなく、実際に行われているがん教育の現状についてもお話しいただきました。
 お話の内容は、病院を中心として活動をしている看護師が実際に見ることが難しい、児童・生徒を取り巻くがん教育の現状、がん教育の政策的背景と課題を端的にお話いただきました。さらには、児童・生徒が健康とがんについての思考力・判断力・表現力を育むために実際にどのようなワークシートを用いて授業を行い、どのような反応があるかという実践の成果を具体的にお話いただきました。また、今後、どのように効果的ながん教育を推進していくかのポイントもわかりやすくお話いただきました。
 参加者は、17名で、大学院生やがん看護専門看護師だけでなく、臨床の看護師の参加があり、役立ったとのアンケート結果がありました。役立った理由として、「臨床でがん患者と関わることが多いが、現在の教育の場でどのように子ども達に教えているのか知ることができた」、「教育の仕組みや、子どもたちのことがわかった」、「がん教育が必要といわれるようになってきた背景がよくわかった」などがん教育の現状だけでなく、「中学生への死生観教育について、何をどのように侵襲が少なく伝えられるかということを考えていた。現場の校長、教員とゴールを明確にし、私自身が伝えられる生の声を届け、家庭で話してほしい」など、これから子どもたちへどのようにがんについて伝えていくか、具体的にイメージしている感想がありました。
 これからは、がん患者を含めた国民が、子どものうちから健康と命の大切さについて学ぶために、私たち看護師も教育の場において担う役割があることを考える、とても有意義な時間となりました。
会場写真 会場写真

〜アンケートより〜
  • がん教育に看護師がたずさわるという視点が今までなかった為、視野が広がりました。
  • 外部講師としてがんに関する知識だけではなく、その他の部分(体験を語ること、知識だけでは説明しきれないこと)を伝えていくことの重要性を学んだ。その上で、学校教育の現場で働く人たちとうまく連携を図り、協力しながらがん教育をすすめていく必要があると感じた。
  • まだ臨床に出て2年目の看護師ですが、今回がん看護に興味があり参加させていただきました。がん教育をする立場にはまだいませんが、これから関わる患者さんや身内に少しずつ伝えていけたら良いなと感じています。