地域がん医療連携の推進を担う薬剤師養成コース
市民公開講座

 平成30年11月3日(土)、市立函館病院に於いて、「お薬のことは薬剤師に!-がん治療における薬剤師の役割-」と題しました市民公開講座を開催いたしました。
 講演①といたしまして、函館がん患者家族会「元気会」 代表 斉藤さちこ様より、「がんになった当事者から伝えたいこと」と題し講演をいただきました。斉藤様は、がんの当事者であることからがん告知を受けた時の思い、がん治療についての悩み、「元気会」を設立された経緯ついて講演をしてくださいました。また、ご自身も医療関係職であり、がん患者さんとこれまでに接してきた経験から、患者さんの思いを大切にすること、心理的変化を読み取ることの大変さについて話されました。さらには、薬物治療に対する思いにつきましてもお話しいただきました。「元気会」が患者さんにとって、心強い会であることを感じることができました。
 次に、薬剤師として現場で活躍をされております市立函館病院薬局 坂田幸雄先生と北海道消化器科病院薬剤部 鈴木直哉先生にご登壇をいただき、「がん治療におけるお薬のお話し」について講演をいただきました。坂田先生からは、最新の薬物療法について作用機序を分けて薬物の長所と短所さらには副作用についてお示しいただきました。その中には、本年ノーベル賞を受賞することになったがん治療薬についてのお話も含まれておりました。鈴木先生からは、薬剤師はがん治療に対する専門性が高いので、治療にあたっては薬剤師からの情報を得ることが治療への不安を取り除くことやQOLの向上に使がることを話していただきました。市民公開講座ということもあり、専門性を発揮しながらもわかりやすくかつ丁寧に講演をいただきました。終了後、参加の皆様からがん薬物治療への薬物の選択及び治療の継続性について質問を受け、診断をもとに慎重に治療を進めることが大切であること、また疑問を持ったらいつでも薬剤師に相談ができることをお示ししました。もう一つ治療で大切なことは、正常細胞の活性化のためにも食事をとることであるとも話されました。
 今回参加の皆様の中には、病院に入院中の方も参加されており、関心の高さがうかがえました。今回はがん患者さんにお話をいただき、かつ地方で開催することができ、とても有意義な講座となりました。がん治療について、関心を持っていただくためにも継続して開催したいと考えております。

会場写真 会場写真
会場写真 会場写真

~アンケートより~
  • 患者目線でのお話は大変印象に残りました。医療関係者にとっては沢山の症例のうちの一例かも知れないが、患者さんにとっては一人一人が全く違う背景・生活で、「初めてがんになった人」であるという点は全くその通りであると思った。
  • 医療者にあまり遠慮せず質問していいのではないか。少し勇気がいるが次回の検診で役立てられるかなと思った。
  • 様々な種類の抗がん剤が異なった副作用の種類を持つこと。同じ種類の薬剤でも副作用の出方には大きな差があることが分かり、大変勉強になりました。オプシーボの副作用に細心の注意を払っている先生方の取り組みに感心しました。ありがとうございました。