がん看護コース研修
緩和ケアアウトリーチナース養成プログラム研修会

 平成30年度がんプロフェッショナル養成プランの第2回目研修会は、11月4日に「がん患者のアドバンス・ケア・プランニングを支える ~患者・家族・医療者がどのように話し合うか~」と題して行われました。
 現在、全国でがんに罹患する人口、がんで死亡する人口ともに増加傾向にあります。そこで、よりよいエンド・オブ・ライフケアのために各施設でアドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)をどのように理解し、日頃のケアに生かしていくか悩みを感じている看護師が多くいます。そこで今回は、講師は神戸大学医学部付属病院の木澤義之先生と大阪大学大学院医学系研究科の福井小紀子先生お2人のお2人にお話をしていただきました。
 木澤先生は、臨床で活躍される医師という立場から、ACPとは何か?なぜ重要なのか?どのような介入が求められているのかということについて事例を通してわかりやすくお話いただきました。ACPを進める臨床の場では、ACP効用を理解する反面、患者にとって侵襲となる可能性があることをわかりやすくお話いただき、かつ、患者にとって希望を奪わないようなアプローチについて実際の声かけの方法などからお話いただきました。
 また、福井先生は地域包括ケアシステムの構築に向けて、終末期在宅医療における質の向上を目指し、看護ケアを可視化していくかということを、研究を通してお話いただきました。
 参加者は、定員30名を上回り、臨床においてまさにACPの必要性を感じている多くの看護師の皆様にお集まりいただきました。内容については、皆様から「役に立った」というアンケート結果でした。詳細内容としては、「具体的な話の進め方を知ることができた。実際の場面で患者の希望を奪ってしまいそうで、どう声をかけていいかわからない時があったので、役に立てていきたい」「最新のACPの概念や介入時期など具体的に知ることができた」「看護研究を数値化していけるようにすること、エビデンスに基づいていけるようにしたいと思った。」など、参加者一人一人がACPに関わる看護師としてのビジョンを持つだけでなく具体的な行動を見出すことができた講演会でした。このように明日から看護に活かせる内容であったため、参加者からは、もっとお話を聞きたいと多数のお声が上がりました。
 今後、さらなる高齢化やがん罹患率の上昇する中で、人生の最終段階について患者家族と話し合うことが医療ケアに求められてきます。そういった臨床現場の中で、医療者として、いかに患者家族と向き合い、患者の思いをつなぐケアをしていくか、また、ケアを個人でするだけでなく、組織や地域として患者家族の想いをつなぐことが可能であるか、自分のこととして考える有意義な時間となりました。
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〜アンケートより〜
  • ACPをすると言っても、タイミングだったりどう進めていいのかわからなく参加したが、実際ACPの意味・目的を自分自身が理解できていないことに気づき、今日学ぶことができた。
  • ACP介入のタイミングなど悩むことがあったので、講義を聞かせていただいて介入方法が分かりました。ACPの難しさも感じていましたが、木澤先生の実体験も参考にさせていただきながら介入していきたいと思います。
  • 非常に有意義でした。ACPに関してどのように実践するのか悩んでいたこともあったので、ヒントになる内容でした。また福井先生の講義にあるように研究を数値化していけるようにすること、エビデンスに基づいていけるようにしたいと思いました。