がん看護コース研修
緩和ケアアウトリーチナース養成プログラム研修会

 平成29年度がんプロフェッショナル養成プランの第2回目研修会は、11月18日に「AYA世代のがん患者が抱える問題と支援」と題して開催されました。
 最近、よく耳にする「AYA世代」とは、国によって定義は異なるものの、おおむね15歳から39歳までとされています。そのAYA世代が発症するがんは、多くの診療科にまたがる多様ながん種、いわゆる希少がんに分類されることが多々あります。希少がんとは、罹患率が人口10万人当たり6例未満程度とされており、症例数が少ないがん種を指します。2014年に開設された希少がんホットラインには、2014~2016年の間、9606件の新規相談があり、情報を求めるニーズが高いことが伺えます。そこで今回の講演には、希少がんセンターで幅広く活動されている加藤陽子先生をお招きしました。
 加藤先生は、厚生労働省の「希少がん医療・支援の在り方に関する検討会」の構成員として活躍されるだけでなく、希少がんセンター開設時から、希少がんホットラインで多くの電話相談を受けていらっしゃいます。そのような診療支援にとどまらず、情報提供や教育など活動は多岐にわたっています。今回、希少がんの特徴や希少がんセンターの取り組み、AYA世代のがんについて患者が抱える問題や支援について焦点を当て講演が行われました。
 AYA世代は、小児期から成人期への移行期であり、同年齢であっても、自立・自律の度合い、家族環境、就学・就労の状況、経済的状況、ライフプランなどに個人差がある特異的な時期となります。そのようなAYA世代のがん患者が抱える問題は診断・治療から社会・生活など様々です。例えば、診断が難しいだけでなく標準治療が未確立であることもあります。また社会的問題としては、就学・就労だけでなく外見的な問題、将来への不安、家族・パートナーとの関係の変化など様々です。これら、多様な問題について、講師自らの体験を織り交ぜながらわかりやすくご講演いただきました。
 参加者は15名で、CNSや大学院生だけでなく臨床看護師の参加がありました。参加者の多くの皆さまから、役に立ったとの回答をいただきました。その理由としては、希少がんの患者と出会う機会は少なく支援に悩んだ経験があり、今後同じような状況に出会った時に、どのような支援や情報提供ができるかを考えるきっかけになったなどの感想がありました。
 AYA世代のがん患者が抱える問題において看護師は、診断・治療が難しいだけでなく、「個」の多様性を理解し、くみ上げることが求められます。それら必要とされる「個」のニーズに合わせ支援を作り出しシステム化し、さらに支援システムを医療者だけでなく患者と協働しながら情報発信していく情熱がケアの質の向上につながることを学んだ研修会でした。
会場写真 会場写真

〜アンケートより〜
  • 小児でもなく成人でもないAYA世代の特徴や具体的なケアを学ぶ機会になった。
  • どんな活動をされているのか、どこに何をきいたら良いのか具体的にわかり本当に勉強になった。
  • 希少がんやAYA世代のがんの現状について大変勉強になった。経験は少ないが時に希少がんの方と関わることがあるので、看護師として求められること、提供していけるケアについて学べる機会となった。