がん看護コース研修
緩和ケアアウトリーチナース養成プログラム研修会

 平成29年度がんプロフェッショナル養成プランの第1回目研修会は、10月14日に「高齢がん患者の意思決定支援」と題し開催されました。
 現在日本は、「4人に1人が高齢者」であり超高齢社会になりました。そして人口の高齢化に伴い、がんサバイバーの高齢化につながっています。高齢がん患者を取り巻く状況は多様になっており、高齢がん患者の認知機能の低下や老年性うつ、家族が高齢がん患者への告知を拒否するなど様々な問題が重複している場合があります。多くの場合は、その多様性から問題解決の糸口は10人十色であることを臨床で実感することはしばしばあると思います。そのような複雑かつ困惑する状況の中で、高齢がん患者や家族とどのように向き合っていくかに焦点が当て講演が行われました。
 講師には、筑波大学付属病院よりがん看護専門看護師である入江佳子先生をお招きしました。入江先生は、緩和ケア認定看護師、がん看護専門看護師として、筑波大学付属病院で横断的に活躍されています。今回、入江先生には、意思決定に関する知識や、意思決定場面の看護師の役割、高齢がん患者の特徴などの知識を中心にご講演いただきました。また、高齢がん患者さんの特徴として、高齢者特有の身体・認知機能は個人差が大きいことや、合併症や既往歴の多様性、治療の適否の判断は年齢では区切れないため、高齢がん患者のアセスメントが難しくなることについて、入江先生が直面した具体的な事例を用いながら解決へ導いた方策をお話しいただきました。
 参加者は16名で、CNSや大学院生だけでなく、臨床の看護師の参加がありました。参加者の満足度は、100%の方に「内容は期待通りであった」と回答をいただけました。役にたった理由としては、「自分の病棟でも、高齢がん患者が多く、情報提供や治療継続の意思決定は難しい」と感じていたが、「ケースを通じて具体的に話をされていたので今後の参考になった」「考え方、関わり方などすぐに活かすことが出来そう」などの声がありました。
 全体を通して、高齢がん患者を取り巻く様々の問題においては、高齢がん患者が意思決定できるように看護師は、それぞれの患者や家族にとってちょうどいい情報提供がどのようなものであるか、いつ伝えるべきかを見極めることや、高齢がん患者や家族が意思を決めるプロセスに寄り添うことが重要であり、専門性がいかされるという学びになり、これからの看護に役立つ時間となりました。
会場写真 会場写真

〜アンケートより〜
  • 認知症の方の意思決定能力のアセスメントがすぐ臨床に役立つものだった。
  • 高齢がん患者の意思決定について、講義の中での事例など身近に感じることがたくさんあり、勉強になった。
  • 意思決定の本質を再確認できた。
  • 臨床でも高齢者の患者さんの意思決定支援について悩むことも多いため、今回具体的な関わりなど、多くのことを学ぶことができ、今後の実践に活かせる内容だと思った。