薬理学(薬理学)

研究実績

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研究概要

1)免疫チェックポイント分子と共刺激分子の発現バランスに関する研究

免疫チェックポイント分子とは、cell-cell contact を介した生体にとって有害な免疫反応の制御に関与する分子の総称であり、代表的なものとして、PD-1やPD-L1があげられます。免疫チェックポイント分子は、CD86などの共刺激分子とともに、外因性または内因性の免疫刺激に対して、免疫反応を促進するのか、あるいは抑制するのかを決定するうえにおいて重要な役割を果たしています。したがって、これらの分子の発現に異常が起これば、様々な疾患の原因になると考えられます。当研究室では、抗原提示細胞(マクロファージや樹状細胞)における免疫チェックポイント分子と共刺激分子の発現バランスがどのように制御されているかについて分子レベル、細胞レベル、個体レベルで研究を進めています。また、これらの分子の発現バランスに対する免疫系に作用する薬物の影響について解析を行っています。

 

2)免疫疾患治療薬によるマクロファージの抗原提示機能に対する影響の解析

マクロファージは体内に侵入したアレルゲンや細菌、ウイルスなどの異物を抗原として認識します。抗原を認識したマクロファージは、抗原提示分子である主要組織適合抗原クラス II(MHCII)を介して  T  細胞に抗原情報を伝え、次々に免疫応答が活性化し、その結果、異物が排除されます。このように、マクロファージは免疫応答惹起の要となる役割を担います。したがって、免疫疾患治療薬のマクロファージへの影響を明らかにすることは、治療薬の作用・副作用を理解する上で欠かせません。当研究室では、関節リウマチ治療薬がマクロファージの MHCII 発現を増加させることを初めて明らかにしました。この発見が関節リウマチ治療薬の新たな作用点となる可能性を見出しています。

今日、免疫疾患治療薬の開発が積極的に進められる中、マクロファージに対する影響については未解明な部分が多く残されています。免疫疾患治療薬によるマクロファージへの影響解明の一端として、特にマクロファージに発現する抗原提示分子、共刺激分子、また、マクロファージの機能的分化への影響に着目し、細胞レベル、個体レベルで研究を進めています。