ヨブスマソウ
「ヨブスマソウ(夜衾草)」はあまりなじみのない方もいらっしゃるのではないかと思いますが、「ボウナ(棒菜)」と書くと少しはどこかで聞いたことのある山菜かなあとおっしゃる人もいるのではないでしょうか。この「ヨブスマソウ」、森林や谷間に群れをなして生えるキク科の多年草で、道内のどこにでも見ることができます。名の由来は、その特徴的な大きな三角形の葉にあります。三角形の葉の形が夜具似ているからとか、「矢ぶすま」で春先に太い芽が並んでたったところを矢がささっているとみたから等の語源が考えられているようですが、一方では「ヨブスマ」はムササビやコウモリの方言名で葉の形が肢間の皮膜を広げて空を飛ぶ様に似ていることからついたという説もあります。私個人的には後者の意見に賛成です(個人的にムササビを飛ぶところなど実際に見たことはないですが・・・)。「ヨブスマソウ」の特徴は葉の形だけではありません。その背丈も非常に高く2mを越えるものもあるほどです。キク科でこれほど背の高くなる植物は「ヨブスマソウ」くらいしかなく「セイタカワダチソウ」でも及びません、他の植物と比べて見ても北海道でこれほど背丈の高くなる草本性植物は、タデ科の「オオイタドリ」とセリ科の「エゾニュウ」くらいしかありません。もちろん、我が北海道医療大学が所有する遊歩道内にも多数自生していますので容易に見ることができます。
山菜としては先にも述べましたように「ボウナ(棒菜)」と呼ばれていて、春先の若芽を食用とします。これは「ヨブスマソウ」の若芽が葉が上を向いて茎にしっかり巻きついているので、棒を立てたとうに見えることからついた名前です。食べる時には葉を落として茎だけにして利用します。若い時の茎はやや紫色を帯びていて、断面は中空でフキの葉柄に比べると肉はずっと薄くキク科の植物に特有な香りがあって野菜の「シュンギク」に一番近い香りがします。
食べ方は茹でて、苦味がなくなるまで水にさらしておきます。あとはおひたし、汁の実、酢みそあえ、ゴマあえ、ゴマしょう油、三杯酢で食べるようです。私個人的にはまだ食したことがないので、今年は何本かトライしてみようと思っています。ある人(遊歩道の整備を担当している吉田尚利氏)によるとアスパラを茹でて食べるのと同等の美味しさがあるそうです。
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