取組の概要

 地域の医療人の不足により、過疎地に暮らす人々が不安を抱くなど深刻な社会問題となっていますが、人材養成のニーズは高まるものの、学生は、地域医療に携わる専門職となることに漠然とした不安感をもっています。
 一方、科学技術コミュニケーションを担う人材養成プログラムが近年、注目を浴びており、この取組は基礎研究者のみならず医療従事者にも、病状や治療法等の専門的事項をわかりやすく患者に伝える手法として期待されています。
 本取組では科学技術コミュニケーションをカリキュラムに導入する双方向型教育を行い、より実践に近い場として多職種参加型の「メディカルカフェ・北海道」を地域と連携して開設するものです。入学後早期にコミュニケーション能力を身につけることが、卒業実習をはじめ、就職後の不安解消に役立つとともに、地域住民の医学・医療リテラシーの向上を図り、北海道の深刻な地域医療問題の解決を教育面から寄与することが可能となります。

プログラム目的

 本取組は、北海道医療大学と札幌医科大学が連携し、それぞれが有する教育・研究資源を活用し、北海道の地域医療の課題解決に向けた実践的教育プログラムです。具体的には、科学技術の研究内容や意義を一般市民に分かりやすく伝える「科学技術コミュニケーター養成プログラム」を医療人版として各学部の教育プログラムに取り入れ、双方向型の医療コミュニケーション能力を身につけさせると共に、積極的に地域医療に貢献する医療人の育成を目的とする実践型教育プログラムを構築するものです。
 このプログラムの実習の場として、両大学の学生自ら企画・実践する「メディカルカフェ(※1)・北海道」の定期的な開催を行います。これは、市民と科学者をつなぐ場である「サイエンスカフェ(※2)」と同様に、広大な医療圏を抱える北海道の住民と医学部をはじめとする各学部の学生を双方向型医療コミュニケーションでつなぐ場でもあり、本取組の根幹を成すものです。
※1)「メディカルカフェ」とは、本取組の造語でサイエンスカフェの医療人版を意味します。
※2)「サイエンスカフェ」とは、市民と科学者の間での科学技術コミュニケーションを図る場であり、欧米では大学の教育プログラムに組み込まれています。実施にあたっては、研究者から一方的に話を聞くだけではなく、参加者からの意見や質問を受け、対話を通して科学について語り合う形式をとります。

プログラム目的

取組の概念図