北方系生態観察園は、本学附属薬用植物園に隣接する153,000m2に及ぶ広大な保安林内にあります。木立の間に造られた遊歩道にウッドチップが敷き詰められており、足腰に優しいルートになっています。

 この北方系生態観察園内には、現在までに約200種類以上の植物が自生していることが確認されています。下のマップから分かるように、生態観察園内には東西に2つの尾根があり、両尾根に挟まれるように唯一の水の手である大沢が流れ、湿地帯を形成しています。大沢の水の供給源は年間を通して冬に積もった雪解け水と雨水だけであり、さらに北方系生態観察園が、周囲の田畑よりも高い位置にあるので、農薬の影響をほとんど受けない環境になっています。

 そのため都市近郊ではなかなか見ることのできなくなったエゾサンショウウオや、シオカラトンボ、オニヤンマ、エゾハルゼミ、アブラゼミ、クワガタ、ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、アゲハ、キアゲハ、カラスアゲハなどの昆虫が多数生息している他、色々な鳥類の生息地になっていることが分かってきました。

 北方系生態観察園内に自生している植物の中で、特に紹介させていただきたいのが、ラン科のオニノヤガラと、ウコギ科のトチバニンジンの大群落です。

 両植物とも日本薬局方収載生薬で、オニノヤガラは大沢一帯の湿地帯に毎年30株以上自生していることを確認しています。中国の文献によるとオニノヤガラの生育環境は、「海抜1000〜1800mの高山地帯の寒冷地で一日の半分が日陰、半分が日の当たる適度な湿り気を有する、植物の腐植質が多い肥沃な土壌でなければならない」と記されています。それとなによりもキシメジ科のナラタケがたくさん自生している環境が必須条件とされています。オニノヤガラ自生地一帯には予想通り広範囲にわたって大量のナラタケが発生しており、オニノヤガラとナラタケの共生関係を示す状況証拠を得ています。

 また「東側の尾根」一帯は、日本薬局方にも収載されている薬用植物で、トチバニンジン(生薬名;竹節人参)の大群落があります。大群落というよりは山全体がトチバニンジンで一杯であると言った方がおそらく正しい表現と言えます。ざっと数えただけでも500株を越える個体数のトチバニンジンを確認しました。その他「東側の尾根」には胸高25cm、樹高15 m 以上のキハダ、ホウノキ、ニガキなどの日本薬局方収載の薬木が多数自生しています。

 見ごろは春先と秋口です。4月未から5月上旬に咲き乱れるミズバショウエゾノリュウキンカ(ヤチブキ)の大群落のおりなす白と黄色の色彩には驚かされるばかりです。10月上旬の紅葉もまたすばらしく、静けさの中に映える赤や黄色にしばし足をとめて見とれるばかりです。その他にノビネチドリ、クモキリソウ、サイハイランサルメンエビネ、エゾチドリ、オニノヤガラなどのラン科の植物なども8月に見ることができます。

 一年を通して色々な植物を観察することのできる北方系生態観察園に一度お越し下さい。


北方系生態観察園に関する発表論文

遊歩道入口から見た薬草園の風景 遊歩道入口 池の風景 木漏れ日の小径 谷へ続く階段 大沢の風景 上り階段 尾根沿いの風景 展望台からの風景 その他の場所の美しい風景

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(各サイトの四季の写真を見ることができます。)

オレンジ色で示されている部分は全てウッドチップが敷きつめられた散策路になっています。

灰色で示されている部分は砂利道です。

等高線がゆるやかで尾根全体が広い台地になっています。

晴れた日には雄大な石狩平野の景色を見ることができます。

谷の東側の山は貴重な薬草や薬木でいっぱいです。

一年を通して色々な植物を観察することのできる北方生態観察園に一度お越し下さい。

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