「チーム医療」の現場で活躍する卒業生たち

医療・福祉・保健・を担う先輩たちからのメッセージです。生き生きと働く先輩たちの姿に、将来のイメージを重ねてみてください。

提案できる薬剤師。

 1日10人前後の患者様の言語や嚥下(えんげ:飲み込むこと)の訓練を行うほか、2つに分かれる急性期病棟の一方のST(言語聴覚士)リーダーとしてSTが関わる患者様すべての状況を把握し、週2回の病棟総回診にも参加しています。 「病気ではなく人を診る」をモットーにしています。生活環境、性格、病棟での様子などあらゆる面から患者様の生活の質を、STの専門分野に偏らずに考えます。
 脳卒中※1は一日にして人生を180度変えてしまいます。大きな不安と共に入院生活を送らなければならない患者様がもし自分だったら、自分の家族だったらと、そのつらさを思い、心の声に耳を傾けるよう努めています。 患者様が「できることは全てやっている」と、人生に前向きになる援助ができるセラピストでありたいと思います。
※1脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等の症状の総称

「似たような症状であっても患者様の背景が違えば関わり方も異なると考えています」と、清水さんは、「患者対医療者」ではなく、「人対人」としてのつながりを大切にしています。

課題解決できる薬剤師。

 当院のリハビリテーション科は、広い理学療法・作業療法用リハビリテーション室の向かいに言語聴覚療法室、その並びに音楽療法室、臨床心理室があり、 分野を超えた連携で当院が重んじる「心と体のリハビリテーション」を実践しています。 患者様のリハビリ期間やゴールはPT(理学療法士)、OT(作業療法士)と共に考えますし、STでも必要があれば歩行練習をしたり、音楽療法士とも組みます。 患者様、リハビリスタッフが力を合わせてリハビリに取り組み、回復に向かう過程を見ることは大きなやりがいです。
 担当する病棟には急性期(発症直後)治療後の患者さん、パーキンソン病など神経疾患や脳腫瘍等の患者様が入院していますが、 中には治療やリハビリで一時的回復は望めても病状進行は止められないこともあります。 その場合、「口から食べ、意思疎通できる」期間を最大限延ばすよう嚥下、言語面の維持を中心に訓練しますが、 最終的には「体が硬くなるのを防ぎ、少しでも楽に呼吸できること」がSTにとっても目標となります。 患者様がリハビリができない状況になっても、医師や看護師などと連携をとりながら、私たちリハビリテーション科も最期までチームで力を尽くします。 STの仕事は、経験を積むほど奥の深さがわかってくるものです。

言語訓練では音楽療法士とも連携。太鼓のリズムが発話リズムのコントロールを助けたり、ふだんは出ない声が歌でなら出せるということもあるそうです。患者さんの意欲を引き出す効果も大です。
※取材:2014年
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