教育プログラムの概要


日本の言語聴覚士をささえる言語聴覚学はまだ発展途上です. 米国では, 言語士にあたる資格は修士課程を含む6年の教育課程に1年の臨床研修, 聴覚士にあたる資格は博士課程をふくむ9年の教育課程に1年の臨床研修を経て, 資格試験を受験できます.

日本の医師・歯科医師養成でも1,2年の卒後研修が義務化され, 総合的臨床力を重視しています.

わたしたちは,医師,歯科医師,看護師,理学療法士,作業療法士, 薬剤師等とともにチーム医療を担う言語聴覚士の実力が国際的にも通じるようにしていきたいと構想しています.

わたしたちの大学院は, 言語聴覚士のみならず,この分野で活躍しようという多様な人材を受け入れます.

プログラムの概要

  1. 言語聴覚士は,平成9年に国家資格化し,聴覚障害,発達障害, 高次脳 機能障害・失語症,発声・発語障害などのことばの障害, 摂食嚥下障害を医学的根拠によって改善・支援する医療職である. 北海道医療大学は,平成14年に心理科学部言語聴覚療法学科において, 4年制言語聴覚士育成を開始した.

  2. 米国では,言語聴覚士に相当する医療職である speech-language pathologists は, 2年の修士課程と1年の臨床研修,audiologistsは修士課程終了後に3年の博士課程と1年の臨床研修が資格受験の条件となっている.わが国においても,これに伍する国際水準の言語聴覚士の育成が求めれらている.

  3. 近年,医師・歯科医師養成教育は,総合的臨床実践能力を保証するために,大学卒業・資格取得後の臨床研修が義務化されている.言語聴覚士も,大学卒業,国家資格取得後に,総合的臨床実践能力を保証するための教育の充実が求められ,大学院において実施される必要がある.

  4. 本学大学院心理科学研究科言語聴覚学専攻は,前期課程終了後に専門職につく者のための,高度職業人養成プログラム,後期課程終了後に教育研究職につく者のための研究者養成プログラム大学院として平成18年4月に設置された.言語聴覚士養成の独立専攻大学院としても,わが国最初であり,職業性と密接した学位である修士(言語聴覚学),博士(言語聴覚学)が授与される.

  5. 大学院に先立つが学部教育は,平成15, 16年度科学研究費助成により言語聴覚士養成ではわが国初のモデルコアカリキュラムを作成し,OSCEもとりいれた体系的にプログラム化・構造化したカリキュラムにより展開している.本大学院カリキュラムはこの延長にある.

  6. 博士前期課程は,必修30単位中,臨床実習12単位,修士論文となる課題研究6単位とし,国家資格取得後の高度専門職業人養成のプログラムであることを明確化している.

    博士後期課程は,前期課程終了を前提として,必修19単位中,2単位を臨床実習,12単位を博士論文となる課題研究とし,臨床も踏まえた専門性の高い研究者・指導者養成を中心としている.

  7. 申請のプログラムは,すでに上記の路線で開始している.この支援により,大学院における高度専門職業人養成プログラムを強化し,さらに医療技術系大学院のモデルを提供する.

  8. 申請プログラムの3年計画の具体的内容は以下である.
    • 1年目:
      調査研究(国内での医療技術系大学院の実体と分類,課題抽出,米国における言語聴覚学系教育,とくに臨床実践能力養成教育システムの調査分析,学内における大学院臨床実習体制の改善)
    • 2年目:
      教育プログラムの構築強化(臨床実践能力の高度化と関連する大学院教育のコアカリキュラム作成,シンポジウム開催,実習体制の充実,新しい教育方法の試行)
    • 3年目:
      実践評価(教育システムの実践,成果の公表)に主体をおき,その後の発展の基盤を完成させる.