2009年度履修生の修了式

学生と、ゲストと、市民と、たくさんの出会いでぐ〜んと成長して、本年度の授業はフィニッシュ!

 1月22日(金)18時より本学サテライトキャンパスにて、2009年度・授業「メディカル・カフェをつくる」の修了式が行われました。最初に7グループそれぞれによるカフェ開催の報告があり、学生の大きな成長が伝わってくる鋭く深い内容に、学生、教員、事務スタッフなどこの授業に関わったすべての人が晴れ晴れとした気持ちになれた授業の締めくくりでした。
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自分たちをほめてあげよう。
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 修了式では、授業の総まとめとして、7つのグループそれぞれの代表がカフェづくりから実施までの報告を行いました。この日配られた実習報告書集には、どのグループもよかった点以上に様々な反省点を鋭い視点で見つけ、それに対する改善策が挙げられています。報告書を見る限り学生自らの評価はかなり厳しいようですが、今日こうして代表の口からの報告を聞いていると、大変だったからこそ得られたものの大きさがよくわかります。一つのことをやり遂げた達成感が伝わってきます。
 報告からは、学生たちが様々なトラブルやハプニングを乗り越えてきたことがわかりました。企画がなかなか決まらず、2か月という短い準備期間で本番を迎えたグループ、メンバーの一人が直前に骨折し松葉杖をついて参加したグループ、ゲストに自分たちの意図を的確に伝えられず苦労したグループ、さらに、どうしてもスケジュール調整ができずゲストとカフェ当日まで一度も会えなかったグループもありました。
 この授業の特色がよく出ていたのは、反省点として挙げられたことの多くがコミュニケーションに関わるものであることです。例えば、グループ内で漠然と共有できていると思っていた情報が、実際には共有できていなかったというケースが多く、打ち合わせ、確認の大切さ、思いこみ禁止が強調されました。大人であるゲストとの交渉などのコミュニケーションの難しさも誰もが痛感したようです。一方で、よかった点として挙げられたのも、多くはコミュニケーションがらみのこと。「メールを駆使してグループ内で連絡を素早く取り合ってあらゆるトラブルを乗り切った」と胸を張るグループもありました。カフェ当日に他グループのメンバーや授業の先輩となる2008年度履修生がボランティアとして開催を裏方として支えてくれたことへの感謝の気持ちも、全グループに共通する思いだったようです。カフェづくりを通して学生は、ものをつくるとき、動かすとき、いかにコミュニケーションが重要かということをしっかり学び取ることができていました。
 修了式の前半はこのように、授業の本質が学生一人ひとりに理解されたのが感じられる、うれしい報告会となりました。
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ビバ メディカル・カフェ! ビバ エブリバディ! 写真4
 本学の阿部先生は講評のなかで学生の健闘を讃え、励ましの言葉を贈りました。この授業には医療職に必要な“学士力と社会力”をつけてほしいという教員の思い、現場の思いがテーマになっていたことを改めて確認、文化や社会への「知識・理解」、コミュニケーションスキル、問題解決能力といった「汎用的技能」、自己管理や社会的責任を果たす「態度志向性」、総合的学習経験と創造的思考力のほとんどをこの授業で行動を通して学んだと話します。
 授業は学生がメディカフェ社の社員という想定で進められてきました。阿部先生は、カフェづくりで学生それぞれが役割を果たそうと身につけたノウハウ、センスは「そのまま世の中で通用するものです」と学生を大きく勇気づけます。ただ一つ、実社会との違いはお金の心配をしなくてもすんだこととか。
 最後に、学生、教員どちらも2大学の混成である授業には枠を越えた出会いがたくさんあったことに触れ、将来必ずやってくる、患者さんや障害のある方、その家族、他の医療職、さらに社会のシステムなど様々な出会いを大切にしてほしいと結びました。スクリーンには阿部先生から学生へのねぎらいと励ましの言葉「ビバ メディカル・カフェ! ビバ エブリバディ!」の文字が映し出されていました。
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壁に当たったら、この経験を思い出そう。 写真5
 この取り組みの代表である札幌医科大学の當瀬先生のお話のポイントは、「この授業で得た経験は将来必ず生きる」ということでした。「人間は余裕のあるときにコミュニケーションを取ります。みなさん、カフェ本番の日を思い出してみてください。コミュニケーションが取れなかったのは、時間に追われて余裕のないときではありませんでしたか」。當瀬先生は、医療現場は切迫感あるシチュエーションが多いことを指摘します。そして学生たちに、将来臨床で気持ちに余裕がなく患者とのコミュニケーションを放棄しそうになったときは、今回のカフェづくり、とくに一番困った経験をぜひ思い出してほしいと呼びかけました。
 「一般的に大学の教員は短い時間でわかりやすく話すことが苦手です。カフェの30分では全然足りない、1時間は必要だと、自分の話に自信のある人ほど聞き手のことを考慮しないパターンが多いんです。ですから、カフェのゲストを務めるということは教員にもいい勉強となる機会だと思います」と當瀬先生、なごやかな雰囲気で最後のお話を締めました。
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みなさま、ありがとうございます! 写真6
 最後は、當瀬先生より学生代表(本学心理科学部2年・山下由布子)へ修了証が授与されました。修了証を手にすると、突然「ひと言感想を」と言われた学生代表ですが、とっさのことにもひるまずに、堂々とあいさつ。「大変でしたが、楽しかったです。それまで全く知らなかった人たちが、一緒に苦労して一つのものをつくる仲間になれました。大学内で学ぶ通常の授業とは違う、多くの経験ができました。先生、事務の方々、そして一緒に頑張った学生のみなさん、本当にありがとうございました」。学生代表のすがすがしい表情と大きな拍手で、2009年度の授業は無事に幕を閉じました。
 

現代的教育ニーズ取組支援プログラム「双方向型医療コミュニケーション教育の展開」修了式

日時:
2010年1月22日(金)18:00〜19:30
場所:
北海道医療大学サテライトキャンパス
プログラム:
1. 開会 長峯隆教授(札幌医科大学医学部)
2. 学生発表
A〜Gの各グループ代表によるメディカル・カフェ実習報告
3. 講評 阿部和厚教授(本学心理科学部)
4. 當瀬規嗣教授からのお言葉(札幌医科大学医学部長/現代GP代表)
5. 修了証授与
6. 閉会
2009年度履修生が開催したメディカル・カフェ

全7回、場所は全て紀伊国屋書店札幌本店1階インナーガーデン

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2009年10月17日(土)
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●ゲスト:
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