夏の「メディカル・カフェ」開催に向け、キックオフ

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2008年4月26日午前10時、本学の学生と札幌医科大学の学生が一緒に学ぶ画期的な合同授業の記念すべき第1回目が、札幌駅ほど近くの大学共同利用施設「ACU」の研修室で始まりました。この日初めて顔を合わせた両大学の学生たちでしたが、90分の授業が終わるころにはどの学生の表情からも緊張が消え、半年後の「メディカル・カフェ」開催というゴールめざして、一緒に気持ちのいいスタートを切りました。

授業そのものも学生がつくっていく
 おそらくは大半の学生が「メディカル・カフェってなに?」という素朴な疑問を抱いていたであろう初日。まず最初に、その疑問を解消すべく、この授業のまとめ役の阿部先生(本学心理科学部教授)から説明がありました。「メディカル・カフェ」は簡単に言うと全国各地で開催されているサイエンス・カフェの医療版です。サイエンス・カフェは科学的テーマを糸口とした科学者と市民のコミュニケーションの場ですが、その手法を医学や医療、健康などの分野に応用しようというものです。この授業は、「メディカル・カフェ」の企画から運営までを本学と札医大の学生が力を合わせて行うという演習で、カフェの名の通り、講演会のような一方的な情報提供ではない“双方向コミュニケーション”の場をつくることがポイント。そのため、授業の目標として、医療・科学コミュニケーション技能や情報収集力、情報提供技能はもちろん、他者のコミュニケーションをサポートする力にもウエイトが置かれていることなどが説明されました。
 なんとなく学生たちの表情に「なるほど」のサインが見え始めると、阿部先生のお話しは熱いメッセージに。「医学・医療系の大学の合同授業は国内初です。全国でたくさんのサイエンス・カフェが開催されていますが、それをつくる授業もどこにもありません。つまり君たちはメディカル・カフェだけでなく、大学の新しい授業そのものもつくっていくことになるわけです。まさにものづくりの授業。主役は学生、裏方も学生です。どんな成果を挙げられるかは君たち次第。期待しています!」。学生たちの目が輝き、「授業は自分たちがつくる」という先生のメッセージが学生たちの心に確かに届いたことがわかりました。
両大学の混成チームを5つ結成
 全体を5グループに編成。もちろんすべて2大学の混成チーム、メンバーは7〜8名です。グループ単位で思い思いのかたちにテーブルを並べる作業が、メンバー間の最初のコミュニケーションになりました。グループに分かれたら、一人ずつ会場にいる全員に向かって簡単に自己紹介。ゴスペル、フラメンコ、アニメ、陸上、ジャグリングなどなど、学部学科もさまざまなら趣味や特技も個性豊かな学生の集まりであることが判明しました。
誰のあだ名がいちばん面白い?
 「では、実際にコミュニケーションしてみましょう」という阿部先生の声でアイスブレーキングが始まりました。「アイスブレーキング」とは、氷を溶かす、割るという言葉通り、緊張をほぐして参加者同士が打ち解け合うためのものです。今回のアイスブレーキングのツールは“あだ名”。グループごとに全員のあだ名を集め、そのなかから一人だけを選びます。そして選ばれたあだ名の持ち主以外の学生が、そのあだ名と理由を会場の全員に発表するというものです。簡単なことですが、メンバー同士は初対面でまだお互いの名前すら覚えていない状態ですし、与えられた時間はおよそ10分。どのあだ名を選ぶか、誰が発表するか、面白いストーリーをどう作るか、どんどん決めなければなりません。「えーっ、ジャッカル?似合わな〜い」「教授?わかる、わかる」…。あちらこちらで笑い声も上がり始め、教室はがぜんにぎやかに。氷はすっかり溶けました。
宿題は、カフェのタイトル案を考えること!
 アイスブレーキングでなごんだ後に待っていたのは、宿題!次回の授業(合宿)では、対象に小学生を想定した「ミニメディカル・カフェ」が予定され、さっそくグループ単位で発表に臨みます。そこで、各自がグループのテーマに添って“小学生にアトラクティブな”タイトル案を考えておくことが宿題となりました。グループごとに割り当てられたテーマは「脳」「心臓」「肺」「消化器系」「腎臓」。「小学生の興味を引くなんてむずかしそう」と言いながら、宿題なのになぜかみんな楽しそうです。
 面白いことがこの先たくさん待っていそうな予感のなかで、授業が終わったのはお昼どき。親交を深めるべく、わいわいランチに向かうグループもありました。お疲れさま!


スタッフ写真
この授業の教員&スタッフ
札医大からは教員6名と学務課スタッフ2名、本学からは教員8名と教務課スタッフ3名が、さまざまな面から授業をサポートします。
 

本学心理科学部
言語聴覚療法学科3年

梅原 健
「将来の臨床、研究のため、いろんな人と出会いたいと思って履修を決めました。大学を超えて広い人のネットワークができそうです」
本学薬学部
薬学科2年

永松 美樹
「何もかも自分たちが初めてという授業には、そうそう巡り会えません。後輩のためにも、市民のためにも頑張ります!」
本学薬学部
薬学科3年

増田 秀幸
「医療の理解しづらいというイメージを払拭して、医療と市民の間のバリアをなくしたいです。盛り上げ役もまかせてください」
本学心理科学部
臨床心理学科2年

谷口 真澄
「みんなざっくばらん、個性的な学生の集まりで、これなら笑顔いっぱいのメディカル・カフェが作れそう。合宿がとっても楽しみ!」
札幌医科大学保健医療学部
看護学科3年

小沼 勇輝
「すぐ打ち解けてグループは雰囲気抜群。この授業が将来の仕事にも役立つことを1回目で確信しました。ものづくりを楽しみます」
札幌医科大学保健医療学部
作業療法学科3年

佐藤 和佳奈
「それぞれの大学でかたまることもなく、なごやかでした。仲間と一緒にコミュニケーション力を磨き、“伝える力”をつけたいです」